愛執染着


素っ裸

「人肌恋しい」


空から吹き込んでいた木々の青臭いにおいがなくなり、外を出歩くのにもう一枚上着がほしい季節になると、どこからともなくこのことばが聞こえてくる。言っているのは、おそらく20代から30代のひとたちだと思う。異性と接するのが手をつなぐだけとか、ついばむようなキスだけという年齢ではわからない、ゆるゆるとしたぬくみを人肌と言う。

それは底なし沼のように深くて危険だ。一度足を突っ込んでしまったら、底にある湧き出し口に向かってずぶずぶ沈んで抜け出せなくなってしまう。「恋しい」なんて口に出すひとたちは、この沼に浸かりきっているのだろう。自分にも流れているはずなのに、触れてみるとまるで全く別の生き物に生まれつき与えられたもののように思えてしまう、素晴らしくなめらかな温度と湿り気の中に、恋だとか愛だとか信頼だとか、もっと言うならこの世でたったひとつのものが詰まっているように感じている。同じことを考えているひとが何億人もいるという当然の論理が彼らには通じない。何にも代えられないと思い込み、恥ずかしくも人様の前ですら「恋しい」などと口走ってしまう。

沼の水を乾かしてしまえばこんなにラクなのに。最初からからっぽなら、沈むことも、触れられなくて泣くこともない。
もしくは、どの水でも満たされることには変わらないことに気づけばいいのだ。

誰でもいい。このひび割れに、泥臭い水をひたひたと浸してくれないだろうか。
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by you-lily | 2005-12-02 03:35 | お始め

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「あいしゅうぜんちゃく」小説ですよ。日記っぽいけど。
by you-lily
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